胸郭出口症候群とは?しびれの原因と整体

「先生、パソコン作業をしていると、右腕がしびれてきて、指先まで痛みが走るんです...」

こんな相談を受けることが、ここ最近特に増えてきました。私が整体師として18年間携わってきた中で、デスクワークの増加とともに「胸郭出口症候群」と呼ばれる症状に悩む方々が急増しています。

今から5年前、IT企業で働く田中さん(仮名・34歳)が来院されました。「右手の小指と薬指がしびれて、キーボード入力が辛いんです。整形外科では『頚椎ヘルニア』と言われましたが、首の牽引をしても良くならなくて...」

体を見てみると、確かに首に問題はありましたが、それだけではない違和感がありました。詳しく触診を進めると、彼の右肩の下、胸の前側にある「小胸筋」と首の横にある「斜角筋」に強い緊張と硬さを感じました。

「田中さん、腕を上げると症状は悪化しますか?」と尋ねると、「はい、特にこの姿勢が辛いんです」と言って、パソコン操作の姿勢を示しました。

これは典型的な「胸郭出口症候群」の症状でした。

胸郭出口症候群とは何か?

胸郭出口症候群とは、首から腕にかけて走る神経(腕神経叢)や血管が、鎖骨と第一肋骨の間、あるいは周囲の筋肉によって圧迫されることで起こる症状です。

特徴的な症状として:
- 腕や手のしびれ、痛み(特に小指側)
- 腕を上げた時の症状悪化
- 長時間同じ姿勢でのデスクワーク後の不快感
- 手の冷えやむくみ(血行不良)

が挙げられます。メディカルノートさんの解説はこちら

胸郭出口症候群の原因とは 小胸筋と斜角筋

長年の臨床経験から、胸郭出口症候群の多くのケースで主要な原因となっているのが、以下の二つの筋肉です:

①小胸筋:胸の前側、大胸筋の下に位置するこの筋肉は、長時間のパソコン作業や前かがみの姿勢で緊張します。緊張すると肩甲骨を前下方に引っ張り、鎖骨と肋骨の間のスペースを狭めます。

②斜角筋:首の横にあるこの三角形の筋肉群は、呼吸や首の動きに関わっています。ストレスや姿勢不良で過緊張すると、その間を通過する神経や血管を圧迫します。

私が出会った患者さんの約7割は、この二つの筋肉の緊張が腕のしびれの主原因でした。

整体で改善した実例

治療歴10年目のとき、ある研修会で学んだ小胸筋へのアプローチ法が、それまで難治性だった症例を劇的に改善させた経験があります。

40代の女性事務員の方で、「どの整体や病院に行っても良くならない右腕のしびれ」に悩んでいました。首や肩周りを何度アプローチしても一時的な効果しか得られませんでした。

しかしある日、彼女の小胸筋を徹底的にリリースしたところ、「先生!何年も感じていた違和感が嘘のように消えました!」と涙ぐまれたのです。

この経験から、胸郭出口症候群アプローチの要点として、小胸筋と斜角筋の両方をバランス良く緩めることの重要性を確信しました。

また別の事例ではこんなこともありました

ある日、30代の男性のクライアントさんが「最近、右手がしびれるし、肩も凝りやすいんです」と相談に来られました。お仕事はデスクワークが中心で、一日中パソコンを使っているとのこと。
触診すると、肩甲骨が前に出ており、小胸筋がかなり硬くなっていました。また、首の前側の斜角筋も緊張し、軽く押すだけで「うわっ、そこ痛いです!」と反応されるほどでした。

整体では、まず小胸筋のストレッチとリリースを行い、肩甲骨の動きを改善。その後、斜角筋の緊張を緩める施術を行いました。初回の施術後、「なんだか肩が開いた感じがして、呼吸もしやすくなりました!」と驚かれていました。

数回の施術とご自身でのセルフケアを続けることで、2カ月後には腕のしびれがほぼ解消され、快適に仕事ができるようになったそうです。

胸郭出口症候群を整体でケアするメリット

整体では、筋肉の緊張を和らげるだけでなく、骨格のバランスを整えることで、神経や血管への圧迫を減らし、症状の改善をサポートします。特に、胸郭出口症候群の原因となる小胸筋や斜角筋にアプローチすることで、しびれや痛みが軽減しやすくなります。

もし、「最近、腕や手がしびれる」「肩こりがひどくて頭痛まで出る」と感じることがあれば、それは胸郭出口症候群のサインかもしれません。
整体で適切なケアをすることで、体のバランスを整え、快適な日常を取り戻しましょう!

最後に

胸郭出口症候群は、正しい理解と適切なアプローチがあれば、必ず改善できる症状です。特に小胸筋と斜角筋という「隠れた犯人」に焦点を当てることで、長年悩んできた腕のしびれから解放される方を数多く見てきました。

もし読者の皆さんが腕のしびれや痛みを感じているなら、ぜひ一度、専門的な整体師に小胸筋と斜角筋の状態を見てもらってください。長年の悩みが思いがけず早く解決するかもしれません。

18年間、数千人の患者さんと向き合ってきた経験から言えるのは、身体の悩みには必ず原因があり、それを見つけ出せば必ず光が見えるということです。

 

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