
「最近、肩が痛くて腕が上がらない…」「服を着るときに肩が引っかかるような感じがする…」 そんなお悩みを抱えている方、もしかするとそれは“四十肩”かもしれません。
私は整体師として18年、多くの四十肩の患者さんと向き合ってきました。 四十肩は単なる肩こりとは異なり、放置してしまうと痛みが慢性化し、肩の可動域がどんどん狭まってしまいます。 そこで今回は、四十肩の原因や整体での改善方法について詳しくお話ししていきます
ある50代女性の症例
最近の印象的な症例として、専業主婦のAさん(54歳)のケースがあります。来院時、「洗濯物を干すことすらままならない」という状態でした。病院で四十肩と診断され、湿布と痛み止めを処方されましたが、一向に改善が見られないとのことでした。
初診時の検査では、右肩の挙上が90度程度で強い痛みを伴い、特に夜間の痛みが著しいという典型的な四十肩の症状が見られました。
四十肩とは?
四十肩(正式には肩関節周囲炎)は、肩の関節や周辺の筋肉・腱に炎症が起こり、痛みや動かしづらさが生じる症状のことを指します。 名前の通り、40代以降に発症しやすいのが特徴ですが、最近では30代でも四十肩のような症状を訴える方が増えています。
ある50代の男性の患者さんは、「最初はただの肩こりかと思っていたけれど、次第に腕が上がらなくなってきた」と来院されました。 デスクワークが多く、肩回りの筋肉がガチガチに硬くなっていたのが原因でした。 このように、日常の姿勢や動作の癖が四十肩を引き起こす要因になることも多いのです。日本薬師堂さんの解説
四十肩の本質的な原因
私の臨床経験から、四十肩の症状には以下のような複合的な要因が関係していることがわかっています:
1. 肩関節周囲の筋肉の硬直
2. 肩甲骨の動きの制限
3. 首から肩にかけての慢性的な緊張
4. 生活習慣による悪影響
5. 心理的なストレス
特に注目すべきは、症状が出ている肩だけでなく、肩甲骨周りの機能不全が大きく関与しているという点です。
整体による段階的アプローチ
整体では、四十肩の根本原因である「関節の可動域の低下」や「筋肉のバランスの乱れ」を整えることができます。
① 肩関節の可動域を広げる調整
四十肩では、肩関節の動きが悪くなっていることが多いため、整体では肩甲骨周りを中心に調整を行います。 肩甲骨の可動域を広げることで、肩関節の動きが改善し、痛みの軽減につながります。
② 筋肉の緊張を緩める施術
硬くなった筋肉を緩めることで、血行が改善され、肩の動きがスムーズになります。 特に、肩甲骨の内側や首・背中の筋肉をしっかりほぐすことが大切です。
③ 姿勢改善・生活習慣のアドバイス
四十肩は普段の姿勢や動作の癖が大きく影響するため、整体では正しい姿勢やストレッチの方法も指導します。 日常生活での意識が、四十肩の予防と改善につながるのです。
3年前に担当した企業経営者のBさん(45歳)のケースを例に、整体での改善プロセスをご説明します。
Bさんは長時間のデスクワークと精神的ストレスから、左肩の四十肩を発症。特に重要な商談の前で、プレゼン資料が作れないことに強い不安を感じていました。
私たちは以下のような段階的なアプローチを行いました:
第1段階:痛みの緩和(1-2回目の施術)
まず、急性の痛みを和らげることを優先します。この段階では、以下のような手技を用います:
- 肩周りの筋肉への優しいアプローチ
- 肩甲骨周囲の緊張緩和
- 首からの連動性改善
第2段階:可動域の改善(3-5回目の施術)
痛みが和らいできた段階で、徐々に可動域を広げていきます:
- 肩甲骨の動きの正常化
- 肩関節周囲の筋バランス調整
- 胸郭の柔軟性向上
第3段階:機能回復(6回目以降)
最終的な目標である日常生活動作の回復に向けて:
- 実際の動作を想定した機能改善
- 予防のための筋力強化指導
- 生活習慣の改善アドバイス
四十肩の予防と再発防止のために
四十肩の症状は、適切なケアを行えば必ず改善が見込めます。しかし、一度症状が改善しても、同じ生活習慣を続けていれば再発のリスクが高まります。
私の経験では、以下の点に注意を払うことで、再発を効果的に防ぐことができます:
- 定期的なストレッチの継続
- 肩甲骨周りの筋力維持
- ストレス管理の徹底
- 定期的な整体でのメンテナンス
まとめ
18年間、数多くの四十肩の患者さんを見てきた経験から言えることは、「待っていても良くならない」ということです。早期発見・早期治療が、症状の改善に大きく影響します。
特に重要なのは、症状が出ている肩だけでなく、身体全体のバランスを整えることです。整体での専門的なケアと、適切なセルフケア、そして生活習慣の改善。これらをバランスよく組み合わせることで、確実な改善が期待できます。
肩の痛みでお悩みの方は、一日でも早く専門家に相談することをお勧めします。適切なアプローチで、必ず日常生活を取り戻すことができます。