股関節痛と整体

「先生、歩くとき股関節がズキズキして... 最近は階段の上り下りも大変なんです」

これは、私の整体院に初めて来られた松田さん(仮名・58歳)の言葉です。整形外科で「初期の変形性股関節症」と診断され、「年齢だから仕方ない」と言われたそうです。

18年間、整体師として数千人の身体と向き合ってきた私の経験から言えることがあります。股関節痛の多くは、レントゲンで見える骨の問題だけではなく、「腸腰筋」「大腿筋膜張筋」「大腿四頭筋」という三つの筋肉の不調和が大きく関わっているのです。

## 忘れられない「発見」 - 元マラソンランナーの場合

7年前、元実業団ランナーの佐藤さん(仮名・45歳)が来院されました。右股関節の痛みで走れなくなり、「もう走ることを諦めるべきでしょうか」と沈んだ表情で相談されました。

レントゲン上は軽度の変形しか見られないものの、痛みは強く、他院での治療効果も限定的でした。

じっくり触診すると、驚くほど固くなった右の腸腰筋と、代償的に過緊張した大腿筋膜張筋を発見しました。更に大腿四頭筋内側部も硬く、全体のバランスが崩れていました。

「佐藤さん、痛みの原因は股関節自体よりも、むしろその周囲の筋肉にありそうです」と伝えると、半信半疑の表情でした。日本整形外科学会の解説はこちら

股関節痛の原因とは?

股関節痛の原因となる3つの筋肉とは?

股関節は、上半身と下半身をつなぐ重要な関節であり、歩行や座る・立つなど、日常生活のあらゆる動作に関わっています。
そのため、股関節の周囲の筋肉が硬くなったり、バランスが崩れたりすると、関節に負担がかかり、痛みが生じやすくなります。
特に、以下の3つの筋肉が股関節痛に深く関わっています。

① 腸腰筋(ちょうようきん)

腸腰筋は、腰の深部にある筋肉で、「大腰筋」と「腸骨筋」から構成されています。
この筋肉は、股関節を曲げたり、姿勢を維持したりする役割を担っています。
長時間の座り仕事や運動不足で腸腰筋が硬くなると、骨盤が前傾し、股関節に余計な負担がかかることで痛みを引き起こします。

② 大腿筋膜張筋(だいたいきんまくちょうきん)

大腿筋膜張筋は、太ももの外側にある筋肉で、膝を安定させる役割があります。
この筋肉が硬くなると、股関節が内側に引っ張られ、正常な可動域が制限されてしまいます。
特に、片側の足に重心をかける癖がある方や、デスクワークで同じ姿勢が続く方は、この筋肉が過度に緊張しやすく、股関節痛の原因になりやすいです。

③ 大腿四頭筋(だいたいしとうきん)

大腿四頭筋は、太ももの前側にある筋肉で、膝を伸ばしたり、股関節を安定させたりする重要な役割を持っています。
この筋肉が硬くなると、股関節がスムーズに動かなくなり、負担がかかりやすくなります。
特に、ランニングやスクワットなどで太ももの前側ばかり使う動作が多い方は、大腿四頭筋が過度に緊張し、股関節に痛みが出ることがあります。

整体の現場でのエピソード 〜股関節の痛みが軽くなった事例〜

ある日、40代の女性のクライアントさんが「数ヶ月前から右の股関節が痛くて、歩くのがつらい」と相談に来られました。
話を聞くと、デスクワークが多く、普段から運動をほとんどしないとのこと。

まず、姿勢をチェックしてみると、骨盤が前傾し、右足に体重をかける癖があることが分かりました。
さらに触診をすると、腸腰筋がガチガチに硬くなっており、大腿筋膜張筋と大腿四頭筋も緊張している状態でした。

そこで、施術では以下のアプローチを行いました。
・腸腰筋をゆるめる手技で股関節の動きを改善
・大腿筋膜張筋を緩めて、股関節への負担を減らす
・大腿四頭筋の緊張をほぐし、バランスを整える

施術後、「歩くときの痛みがかなり軽くなりました!」と驚かれていました。
その後、数回の施術とセルフケアを続けることで、股関節痛が改善し、日常生活が快適になったとのことでした。

整体で股関節痛をケアするメリット

整体では、痛みのある部位だけでなく、筋肉のバランスや姿勢をトータルで調整することで、股関節への負担を減らし、根本からの改善を目指します。
特に、腸腰筋・大腿筋膜張筋・大腿四頭筋の緊張を緩めることで、股関節の可動域が広がり、痛みの軽減につながります。

もし、「歩くと股関節が痛い」「長時間座ると違和感がある」と感じることがあれば、それは筋肉の緊張が原因かもしれません。
整体でしっかりケアすることで、快適な動きを取り戻しましょう!

 最後に

股関節痛は「年齢のせい」で諦めるものではありません。腸腰筋、大腿筋膜張筋、大腿四頭筋という三つの主要な筋肉の調和を取り戻すことで、多くの方が活動的な生活を取り戻されています。

痛みの原因を「骨」だけに求めず、「筋肉」という側面からアプローチすることで、新たな可能性が開けるのです。

18年間、数千人の患者さんと向き合ってきた私からのメッセージです。体は必ず応えてくれます。諦めずに、正しいアプローチを探し続けてください。

 

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